透明なフィルムをガラスに貼るだけで窓際の温度が下がる!にわかには信じられないかもしれませんが、これもガラスフィルムがもっている機能の一つなのです。

これまで 3Mのガラスフィルムの安全性の性能を実験を通してみてきましたが、このフィルムには作り方次第で遮熱、紫外線カットなどといった機能ももたせることができます。

今回も実験でその性能を証明してもらいました。

今回はバターに対する過激なシーンがありますので、ご注意ください!

貼るだけで窓際の温度が下がるミクロの仕組み

今回紹介いただいたのは、3Mのガラスフィルムのなかでも、遮熱機能を追加した NANO シリーズという製品です。

ガラスフィルムで遮熱というと、スモークやミラーといった色やテクスチャを使って光を反射するタイプの製品を想像することが多いと思いますが、NANO シリーズの特徴は透過率70-90%のほぼ透明のフィルムであるにもかかわらず、熱の原因となる近赤外線をカットしてしまうことができるという点です。

その様子を横軸が波長、縦軸が透過率のグラフで示したのがこちらです。物理を知っていると、このグラフをみただけで「おお!」という気持ちになるのですが、ポイントはグラフが盛り上がっている場所ではなく、ほぼ 0 にまで下がっている場所です。

虹色の、人間の目に見える可視光は透過率が高いまま、熱の原因になる近赤外線や、紫外線(青い矢印の部分)はほぼゼロ、つまりガラスを通っていないのです。通らないということは、窓際に座っていてもこうした波長の光線で日焼けをしたり、熱く感じることがなくなるのです。

どうしてこんなことが可能なのかというと、この50ミクロンの薄さのフィルムのなかに200層以上のポリエステルのさまざまな薄さの層があり、特定の波長だけを外にむかって反射するように作られているのです。

ミクロンというと、1メートルの100万分の1です。それがさらに200層の厚みもさまざまな層に分かれているというのですから、さらに小さな、ナノメートルのスケールでの制御された技術で均一にこのフィルムは作られていることになります。

ビル用の大きなガラスフィルムが、水平には何メートルも均一に、しかも厚み方向にはナノメートルの細かさで作られているというのですから、凄まじい技術です。いったいどうやって作っているのか気になりますが、そこはさすがに「秘密です(笑)」とのことでした。

こうして作られたフィルムを窓に貼り付けるだけで、窓際での温度は格段にかわります。フィルムの透過率次第で、最も日差しが厳しい正午頃で3.1度から7.6度も下げることができるのです。

もちろんこれはガラスフィルムだけの性能ですから、光の透過率を70%に下げてもいいのでガラスフィルムだけで運用する、あるいは90%透過のタイプのフィルムを使ってブラインドを併用して部屋の温度を制御するといった組み合わせも考えられます。

このNANOシリーズにはUVカットの機能もあるのですが、それを応用することで「防虫」の効果も期待することができます。虫が反応する紫外線をカットすることによって、光に吸い寄せられるタイプの虫からみて部屋のなかの明かりが「見えなくなる」わけです。

NANOシリーズの遮熱機能を検証してみる

しかしこの透明のフィルムに、ほんとうにそれほどの遮熱効果があるのでしょうか? ちょっと涼しいくらいのことで大した違いはないのでは? という疑問も残ります。そこで、実際に NANO シリーズの遮熱効果を実験していただきました。

実験のセットアップはこの通り。NANOシリーズのガラスフィルムを貼ったガラスを左側に、貼っていないガラスを右側に配置して、それぞれの上に至近距離で白熱球を設置します。

この距離ですから、ちょっと点灯するだけで手のひらがじりじりと焼かれるような熱がつたわってくるのですが、この下にひよこの形に切り取ったバターを置いて違いを見てみます。それぞれの器には温度センサーを設置して、その違いもみてみましょう。

実験結果はこのとおり。ものの数分でガラスフィルムを貼っていない側のバターは溶けてしまいましたが、NANOシリーズのフィルムが貼ってある側はほとんど温度が変わっていません。

ああ…ひよこさん…なんという姿に。

ガラスフィルムのない側の温度はセンサーの上限が 70度でしたのでそれ以上は測定できませんでしたが、となりは同一のセットアップでも42度程度にしか上がっておらず、ひよこも健在です。しかもこれ、若干となりのフィルムを貼っていない側からの影響を受けているようですので、実際はもっと低い温度のはずです。

夏になると、窓の横にいる人は熱いので冷房を入れたくなるのに、部屋の残りの人にとっては寒すぎるといった違いが悩みのタネですが、ガラスフィルムを一枚貼るだけでこれだけの違いを生み出せるのです。もちろんこれは、光熱費を節約する効果があるわけです。

しかも、この NANOシリーズにはJIS規格の試験で得られたスペック以上の性能を発揮するという面白い特徴をもっています。試験においては直上からの光に対する効果を測るものの、製品としてのNANOシリーズは実際に光がやってくる斜め上からの入射に対して性能がよくなるよう「角度効果」を組み込んでいるからです。

実際の建屋で異なるフィルムがはってある窓を撮影してみましたが、違いがわかるでしょうか? たてに薄く線が入っている部分がフィルムの透過度の違いがわかりやすい場所ですが、比べてみてもほとんど透明のガラスと変わりがありません。

ガラスはアップグレードできる

さて、ここまでの情報をまとめると、3Mのガラスフィルム(3M™ スコッチティント™ ウィンドウフィルム)には、目的に応じて地震対策、衝撃対策、防犯、遮熱、UVカットなど、さまざまな機能を組み込むことができることがわかります。

ここでは紹介しきれませんでしたが、種類によっては遮熱だけではなく、内側からの断熱効果を持っているタイプのフィルムも、スモーク、メタリックなどの色合いをつけられるものもあります。

あとは、建物の場所によって、利用の仕方によってガラスフィルムを選ぶだけで、その場所にあった機能を追加していけばよいわけです。新しく家を建てたり、オフィスを作る場合はもちろん、すでに利用しているガラスにフィルムをあとから追加することでガラスを「アップグレード」することだって可能です。

こうした知識は、あまり消費者である私たちのところにはやってきません。ふだん、どんなガラスを利用していて、どれだけの安全性があるのかといったことを意識するチャンスは少ないのですから当然です。

しかし、「ガラスはフィルムでアップグレードできる」という知識をどこかにもっておくことで、家を建てるときに、店を開くときに、オフィスをかまえるときに、小さな、正しい選択をすることができるかもしれません。その選択が、災害や非常時に身を守り、普段の生活を快適にすることにつながるのです。

みなさんも、どこかにこの小さな知識を覚えておいてください。

取材に際して、大がかりな実験を複数用意してくださった3Mのスタッフのみなさま、ありがとうございました!

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