絵になるのだ。
幾重にも重なる色とりどりの照明に照らされたステージ上でも、雲一つない抜けるような青空の下でも、薄ぼんやりとした灯りに包まれるラジオブースでも。
彼女がそこに立てば、会場が何処で如何なる環境であるかなどは一切関係がない。どの瞬間を切り取っても、バロック芸術のようなダイナミックさがある。
ユメノユアから視線を外してはいけない。まずはこうお伝えしよう。何時如何なる場所においても、ユメノユアから目を離すな。


ユメノユアは、GANG PARADEの前身であるPOPから活動を続けるメンバーの一人。襲いくる幾多の荒波からグループを守り続けてきた竜骨とも言える存在である。ギャンパレを人生だと語る彼女は、言うまでもなくグループの象徴の1人だ。

冷静かつ熱烈で、成熟していながら幼く、理知的でありながら「天然」。カッコいいのに可愛くて、猛烈なのに温和で、猛然としながらも丁寧で。
それをギャップと一言で語るのは簡単だけれど、あまりにそのパターンが多すぎていつまでたっても初めて出逢った時のような新鮮味を覚えてしまう。
あんなにライブで鬼神の如きパフォーマンスを見せていたのに、ひとたび舞台を下りればこんなに天真爛漫な少女になるのか、と。

ユアちゃんのアイドルとしての魅力を、僕は「音楽に対する想い」だろうと思っている。
ギャンパレにおいて作詞をするメンバーはいるが、作曲までこなすというのはもちろん特筆すべき彼女の能力だ。
また、自身が持ちうる喜怒哀楽を握り固めて、聴衆にぶつけるような歌唱とダンスのパフォーマンススタイルはその楽曲のパートを必ずユメノユア色に染めてしまう。
見てくれ、この表情を。彼女のフィルタを通る音楽の全ては、ことごとくメーターを振り切っている。

Skream!というメディアで定期的に連載されている「GANG PARADE ユメノユアの”ROCK ON!#YuaPlaying”」では、そんな彼女の音楽愛と深い造詣に触れることができる。
ことロックというジャンルにおいては、ユアちゃんはキュレーターとして目覚ましい活躍を遂げていると言えるだろう。
このジャンルに門外漢である僕は、彼女の口から出てくるバンド名の99%を知らないので日々忸怩たる思いを続けている。「そのバンドいいよねー!」と一度でいいから言ってみたい。
ロックに「悪魔との契約」はつきものだが、もし魂を代償に悪魔と契約して人生をやり直せるなら初めて買うCDは「LA・LA・LA LOVE SONG」ではなくて、「ANGRY FIST」にしたいものだ。

ユアちゃんのヲタクたちに話を聞くと、口を揃えて「好きを仕事にしているところが偉い!」という。
確かに、アイドル活動と並行して大好きなロックミュージックについての連載を持ち、タワーレコード錦糸町店にはオススメのCDを紹介するコーナーまで設けられているのはその代表的な事例の1つだろう。
また、毎週金曜日には日本初の本格的音楽専門インターネットラジオ「BACKSTAGE CAFE」において、MCを務めるレギュラー番組「TRill MUsic」も放送されている。音楽ライターやラジオDJとして活躍するジョー横溝氏を向こうに回しての堂々としたやりとりと、そこで披露される豊富な音楽知識は耳の肥えたリスナーを楽しませている。
大好きな音楽グループとの対バンも次々に成功させているし、愛してやまないサンリオピューロランドでのイベントも実現し、もはやこれは年末の恒例行事となりつつあるほどだ。
ギャンパレがボーダーレスなグループであることを加味してもなお、ユアちゃんの仕事の広がりには特筆すべきものがある。
しかし、それも多忙の合間を縫って数多くのライブに足繫く通い、インプットを欠かさないという行動があったればこそ。上っ面だけのプロフィールに書かれた「好きなもの」ではないからこそ、認められ今の仕事の数々があるのだ。

ギャンパレのためにできることは全部やる。
ユアちゃんはそういう考え方を持っているのかなと常々思われされているが、その一端を垣間見ることができるのが所謂「ユア告知」だ。
これは彼女自身が定期的にTwitterにおいて行う手書きのスケジュール告知なのだが、実はこれが一番頼りになったりする。公式からリリースされるスケジュールに一覧性がなかったり、時折誤った記載があったりするので、ユア告知こそがオフィシャルと考える遊び人もいるとかいないとか。
すでに公式から発表されているものをわざわざ手書きで書き直す、という手間を敢えてかけるのは遊び人への配慮や親切心もあるだろうけど、より多くの人に届けたいという思いが根底にあるように思う。
確かに、無機質なグループのアカウントからの告知より、アイドル本人から、それも手書きの告知のほうが訴求力は高そうだ。メッセージには体温があったほうが良い。
とにかく、グループのために努力は惜しまない。「ユア告知」からはそんな気概が感じられる。

ユアちゃんの前に立つ時、僕は少し不安になってしまう。
彼女が、人生を賭して燃やし続ける熱情を受け止める資格が自分にあるのだろうかと。だが、そんな自分の懸念などとるに足らないことだとすぐに思い知らされる。
ユアちゃんは時に少女のように、時に聖母のように、いつも温かく優しく迎え入れてくれるのだから無邪気にそこへ飛び込んでいけばいいのだ。
辛そうな表情を見せる瞬間もあるような気がするけど、そう思ったら遊び人一人ひとりが両の腕で支えるだけの話だ。
僕らはギャンパレで生きるユアちゃんと、一緒に生きていけばそれでいいじゃないか。

これからも、ずっと。

最後に

カッコよくて可愛い。ユメノユアは感情のジェットコースターだ!

写真提供

参考リンク

https://www.gangparade.com/

ユメノユア – Twitter