もう、あんまり覚えていないけど、今みたいにシリコンが世界を埋め尽くしていなくて、すべてが大ざっぱだった時代があったような気がする。
クルマのドアは鉄で出来てて、ハンドルは細くて径がデカくて、エンジンは大ざっぱな感じで回り、道はホコリっぽくて、お金といえば、札束で、他の州に逃げればすべてはうやむやになって、レシプロ機でこっそり国境を超えられて、その気になればドラッグとか手に入った時代。いや、僕らが知ってるのは多分、その切れ端ぐらいだけど。
バリー・シールが生きているのは、ベトナム戦争が終わって、中米の戦争にアメリカが手を貸したり、そこから運ばれる麻薬が問題になったりした時代。
ちなみに、実話を元にした映画なのだそうだ。
主演はトム・クルーズ。
昔、世界はたぶん、もっと大ざっぱだった
もう、世代的には我々でさえあんまり覚えてないんだけど、世界はもっと大ざっぱだった。
TWA(トランス・ワールド航空。今は、もうアメリカンエアに吸収されて存在しない)の旅客機のパイロットだったバリー・シールは、怪しい呼びかけに応じて会社をやめて、情報の運び屋をはじめる。呼びかけた相手はCIA。高速双発レシプロ機と、地方の農道飛行場を提供し、情報や銃器を中米の支援してる国に運ばせる。
バリー・シールはそのついでに、中米の連中の要求に答えて、膨大な量のコカインの運搬も引き受ける。CIAもいろいろな利害があって、それを黙認したりして、みるみるうちに札束の山が詰み上がっていく。最初はTWAを辞めたことを怒っていた美人の奥さんも、家を埋め尽くすぐらいの圧倒的な札束の山に「ま、いいか」って感じになっていく。
家建てて、キャデラック買って、スーツケースにも、タンスにも、靴箱にも、馬小屋にも、庭の土の中にも、札束がいっぱいになる。しまいには近所の銀行が、専用の巨大な貸金庫室を作ってくれるほど。
アメリカ映画に出てくる南米とか、キューバ、ニカラグアあたりにスペイン語を話す連中っていうのは、いつも酒飲んで札束持って、コカインを売ってて、フロリダとか、ルイジアナとかはいつも、その運び屋がいて、銃撃戦が起ったりするが、本当にそんな感じなのだろうか?(たぶん、そんなわきゃない)
でも、なんだか懐かしい
でも、度胸と飛行機を飛ばす腕ひとつで、大金持ちになったりできた時代があったっていうのは、なんだかワクワクして懐かしい。今みたいに、ネットでちょこまかとビットコインとやらを動かしてお金持ちになるより、なんだかよっぽど健全な気がする(笑)
トム・クルーズのチャーミングな笑顔と、ノー天気で破天荒な’70年代がお好きなら、楽しめる映画だと思う。
ルイジアナから、レシプロ機を飛ばして、ニカラグアに『荷物』を運んでみたい(笑)