これだけ多様なアイドルが存在する現在、「可愛い」とか「綺麗」なんて感情以外をアイドルに持つことはけっして珍しいことではないと思いますが、それでも僕は声を大にして言いたいのです。
ユイ・ガ・ドクソンのことを知っていて良かった。ユイ・ガ・ドクソンを推していて良かった。

私は、この方のことがとても誇らしい。そして、もっと知ってもらいたいのです。

すでに茶の間でも確固たる知名度を得たBiSHを筆頭とする音楽事務所「WACK」。そこに所属するGANG PARADEがセンセーショナルな分裂劇を見せ、誕生した2つのグループが「GO TO THE BEDS」と「PARADISES」です。ユイ・ガ・ドクソンは、その「GO TO THE BEDS」に所属するメンバー。
驚くほどの小顔から伸ばされた美しい黒髪は腰に届かんばかりであり、トレードマークはけっして外されることのない眼鏡。彼女の外見を説明するなら、描いたような美女そのものになるのですが・・・
ではここで、カメコさんの写真をご覧ください。

所謂、「黒髪眼鏡美女」という表現は間違いではありません。しかし、彼女の魅力はそこではない。いや、それだけではないとあえて言わせてください。誇張でもなく、知ったかぶりでもなく、恰好をつけるわけでもなく、私が考える彼女の魅力は「内面」にこそあると。
推しているアイドルの中身が綺麗だ、などど小賢しいことを言うつもりは毛頭なくて、たぶんユイ・ガ・ドクソンと接触した人間なら誰でも瞬間的に理解できると思うんです。
一言で、そして最大級の愛をもって言い表すなら彼女はとびきり「変な人」でしょう。おおよそ常人には理解しがたい角度をつけた言動を繰り返し、人々を混乱の渦へと引きずり込むモンスター。接触の後に同担同士で「さっきのは一体なんだったんだろう」と答え合わせをしたことは一度や二度ではありません。
でも、彼女のヲタクはそれがもう癖になってしまっているんです。自分たちのような小市民ではおおよそ考え付かない高みに推しは到達しているのではないか、きっと世が世なら彼女は傑物の類として史に歴史を刻んだのではないか、なんて想像をしながら特典券を握りしめてチェキ列にならんでいる。
ユイ・ガ・ドクソン最大の魅力は、そのユニークさやトリッキーさでしょう。

・・・と、思っていました。

無条件に彼女に逢うと元気になる。強制的に笑顔になるといっても良い。アイドルから元気を貰う、なんて月並みすぎて言いたくはないけれど、事実なのだから仕方がない。
それはユイ・ガ・ドクソンの言動が面白いというのも確かにあるけれど、それ以上に向かい合った相手を1分足らずの間にも最大限楽しませようという配慮があるからだということに、ある日気づくのです。
それが、アイドルの仕事だと言えばそれまでですが、相手の情報を集め、記憶し、会話するという人間関係の基本だが簡単ではないことを彼女は悠然とやってのけていると思います。
思えば、彼女のアイドル人生は順風満帆と言えるものはなかったでしょう。WACKのオーディションにはいまだ合格しておらず、せっかく加入したグループも瞬く間に消滅。だからこそ、なのかもしれません。今ある環境に満足することなく、慢心せず、常にヲタクを大事に楽しませようと努力する。
ユイ・ガ・ドクソン最大の魅力は、実はその並々ならぬ努力家ぶりなのです。

・・・確かに、それもあるんだけど。

この記事を書くにあたって、ユイ・ガ・ドクソンの良さを改めて考え直しました。お顔が偉い、歌が上手い、クレイジーなまでに面白い、努力家だ・・・
確かに全部そうなんです。でも、せっかくこの機会に彼女の良さを限られた紙幅の中でーそれも彼女を知らない人にー伝えるのなら、私が知りうる最も尖った特徴をこの記事中でお伝えしなければならないと思ったのです。

ユイ・ガ・ドクソンは、優しい。それも抜群に優しい。私はこれを伝えたい。
自分に向かい合う人間に真正面から対峙し、真摯に接することができる。おそらくは相手が真摯に向き合うタイプの人間ではなかったとしても、彼女は全身全霊をかけて助言を与えようとする。そういう人間だと思う。
私が知っているのはアイドルとしてのユイ・ガ・ドクソンでしかないし、それもここ2,3年の話です。それで人間性を語るだなんて、片腹痛いと言われるかもしれません。そのうえ、「優しい」なんて単純な話をすると浅薄のそしりを免れないでしょう。


でも、これだけはやっぱり声を大にして言わせて欲しい。ユイ・ガ・ドクソンはめちゃくちゃ優しいのだと!
彼女が急遽参加した「WACK合宿オーディション2020」において見せた姿は、慈母そのものでした。なぜあの苛烈な場に彼女が参加したのか、誰もが納得せざるを得ない光景を私たちは度々目にしたものです。
審査に挑む候補生たちに対する親身な態度と受け答えは情愛に満ちたものであり、あれは人々を導く地蔵菩薩そのものでした。一方で、脱落者が出れば我が事のように涙する姿は弥勒菩薩の如く。真剣に振付を考えたかと思えば、ブリッジを軸にした本格的なコントも披露するという三面六臂の大活躍も見せました。
結論、あの合宿において、ユイ・ガ・ドクソンはまさに現世において人々を救う釈迦如来だったのです。
合宿で彼女を見て好きになった、というTweetも当時は散見されましたががそれももっともなことだろうと思います。今日の社会情勢では次に彼女に逢えるのはいつになるかはわからないけど、逢えばわかかります。彼女は、優しい。

お釈迦様は、生まれてすぐに七歩歩いて「天上天下唯我独尊」と言われたと伝えられています。「唯我独尊」とは「自分だけが優れていると自負すること」だと解釈されることが多いのですが、「どんな人間も果たすべき目的を持って生まれてきた」という解釈もあります。
数々の苦行を経て、メンバーの身体と魂のために、そしてヲタクのために自らの為すべきことをひた向きに為そうとするあの黒髪眼鏡の美女のことを私たちは応援し続けるでしょう。
これからもユイ・ガ・ドクソンは悟ったような顔一つせず、屈託なく破顔して私たちに駆け寄ってくれるに違いないのです。

私たちはその優しさに包まれて、安心して笑って楽しむのです。これからも、ずっと。

写真提供

Twitter

ユイ・ガ・ドクソンさん (@DOCKSON_GO_TO) / Twitter