あらゆるライヴにおいて最強を更新し続けるのがギャングパレードというグループだとしても、2018年12月8日のライヴは遊び人たちの記憶から色褪せることはけっして無いでしょう。

「みんなの遊び場」を標榜する彼女たちがこの日、舞台としたのは日本が世界に起こるキャラクターの聖地「サンリオピューロランド」。国内第三位の入場者数を誇る、日本有数の「みんなの遊び場」です。

ギャンパレのメンバーがサンリオ好きであることを知る遊び人たちの多くが、初めての聖地で行われるライブはツアーファイナル以来の大きな現場であると同時に、予想だにしない嬉しい化学反応が起きることへ期待を膨らませていたことでしょう。

結果。

TIF2018におけるライヴが思いがけない驚きをもたらすものだったとするならば、ピューロランドでのライヴは予想を上回る幸福感に満たされるものとなりました。

そもそもサンリオピューロランドとは、45,900平方メートルのドーム型施設に日本初の「カワイイ」と「ハッピー」をパンパンに充填した施設です。

来園がはじめてだったにしろ、そういった類の施設に馴染みが薄かったにしろ、自分たちが応援するアイドルがライヴを行うわけですから、遊び人たちのテンションが上がらないはずはありません。

多少なりとも性の男女を問わず、そして期間の多少はあろうとも、サンリオキャラクターのお世話にならなかった子供がいたでしょうか。

受付を済ませるまではギャンパレに脳内を占有されていた遊び人たちでさえ、日本発のカワイイが詰まった空間に一歩踏み込み、多感な少年時代を共に過ごしたキャラクターが実際に歩き回る姿を見れば、郷愁以上と言える興奮の萌芽を感じたに違いありません。

タイミングとしては、新たに発売されたパーカーを遊び人たちがお披露目する時期でした。ほぼほぼ全身を黒く染め上げた大人たちが大量に闊歩する光景はピューロランドにとっては異例のことだったと思います。

しかしそれが時が進むにつれて、被り物、伊達メガネ、アクセサリーとサンリオグッズを身にまとう遊び人が増えていき、「ギャンパレ✕サンリオ」という化学反応の兆しを見せていきました。

それぞれがアトラクションを楽しみ、フードコートで舌鼓を打ち、パレードに心を奪われる時間を過ごし、迎えた15時30分。ついに開演を迎えます。

セトリは以下の通りです。

  1. テヲノバス
  2. RATESHOW
  3. Happy Lucky Kirakira Lucky
  4. GANG PARADE
  5. sugar
  6. this is love song
  7. ペニンシュラ
  8. FOUL
  9. pretty pretty good
  10. UNIT
  11. Plastic 2 Mercy
  12. GANG 2
  13. Barely Last
  14. CAN’T STOP

「テヲノバス」のイントロが流れた瞬間に、フロアは興奮と驚嘆に包まれました。

待ち望んだ夢の扉が開き、笑顔が約束された世界が始まったのです。

各曲のイントロが流れるたびに、遊び人たちからは歓声や嘆声が上がるのはいつもどおりですが、合間のMCでは、ギャンパレのサンリオガチ勢であるユメノユアとココ・パーティン・ココがサンリオやピューロランドの豆知識を披露するのは、この場所ならでは。

タキシードサム推しの「ココパテ先生」は、基本的ながらも「そうだったのか」と膝を打つ内容。憧れの世界に来てもなお真面目な人柄を隠しきれないココパテらしさがありました。

一方で、クロミ推しのユメノユアは、施設内の「マイメロードドライブ」というアトラクションを紹介。無数のフォトスポットにいるクロミちゃんが様々な衣装で迎えてくれるらしく、「ほんとに可愛いの」とのこと。その写真をTwitterにアップして欲しいというお願いもありましたので、ライヴ後に足を運んだ遊び人も多かったことでしょう。

そして、ライヴはFOULから始まる後半の7曲へ。

激しい曲調のアンセム「Plastic 2 Mercy」を挟みながらも、全体としてはしっとりとした雰囲気の中で進行されていきました。

ラストの14曲目はツアーファイナルの最後を飾った楽曲でもある「CANT’STOP」。ギャンパレ憧れの場所で、幸せに包まれた遊び人たちが手と手を取り合い、笑顔になる。

ステージの上と下という差があったにしろ、夢の世界でギャンパレと遊び人たちが確かに心と心で手を取り合った瞬間でした。

いつも以上に終始楽しそうなギャンパレの姿から、この「WONDER PLAYGROUND」と銘打たれたライヴが「神現場」と呼ぶに相応しいと誰もが思ったことでしょう。

しかし、サンリオとギャンパレの化学反応はこれだけに留まりませんでした。

遊び人たちが望みをかけていた奇跡的なコラボレーションが、期待を大幅に超えたレベルで実現したのです。

 

アンコール1曲目は、日本が世界に誇る「子猫ちゃんの中の子猫ちゃん」キティちゃんとの共演による「3rd FLOOR BOYFRIEND 」。この曲は歌詞に「子猫ちゃん」という言葉が入っているだけでなく、振り付けの随所にネコをモチーフにしたものがあります。そして、遊び人のコールも同じくです。

子猫ちゃんの本場において、過去最大級の「ニャー!」が叫ばれたのです。

ココパテの推しメンであるタキシードサムとユアちゃんの推しメンであるクロミも登場し、会場は興奮の坩堝となりました。

そしてこの夢のパーティーを締め括るのは、やはりあの曲しかありません。

もしサンリオキャラクターたちが一緒に踊ってくれるにしても、あの激しさで踊って大丈夫なのか!アレがアレしちゃわないのか・・・といった不安をよそに、業界屈指の一体感を誇る名曲を再び披露することとなりました。

「Plastic 2 Mercy」はメンバー同士が肩を組み、そしてフロアの遊び人同士も肩を組み、面識があろうとなかろうと関係なく強引なまでのパワフルさで繋ぎ合わせる力を持っています。

メンバーは憧れのキャラクターと自身を代表する楽曲で肩を組めたことで、最高の笑顔。その嬉しそうな表情を見る遊び人たちも笑顔。

楽曲ラストの激しいダンスもキティちゃんやクロミは完璧に踊りこなし、タキシードサムも限界ギリギリのダンスを見せてくれました。サンリオキャラクターたちへの感謝と尊敬の念が会場に満ち溢れた後、この夢のようなショーは終幕を迎えたのです。

「幸せ過ぎて、逆に不安だ」

苦笑いとともに冗談とも本音ともつかない言葉を、ある遊び人が口にしました

確かにこういった安寧を良しとしない、許してくれない環境にあるアイドルグループですから、その不安も無理はありません。

行く先は遠すぎてまだ誰にも見えないけれど、彼女たちが進む未来にはきっとこぼれ落ちそうなほどの幸せが満ち満ちている。

遊び人たちはそう信じて、愚直なまでにワクワクしながら歩いていくことでしょう。

自ら止まることなく、何人にも止められることなく。