控えめに言っても最高。あなたの中にヲタク魂が少しでもあるなら、絶対に見に行くべき。
そして、私は3D IMAXで見たけど、これが大正解。この映画は2Dより3Dで見た方が、VR世界への没入感が違う。絶対に没入感の大きな3Dで見たほうがいい。
ともかく動画をどうぞ。
あらすじはこんな感じ。2045年の未来には、世界は荒廃していて『オアシス』というVRゲーム空間に没頭している。そして、その世界を作ったハリデーという人物が没後公開するように設定していた、『オアシスの中に隠されたイースターエッグ』の捜索に没頭している。それを発見すると、『その資産とオアシスの権利を相続できる』のだ。
で、その富を独占しようというビッグブルーなIOI社と、オアシスの自由を守ろうという主人公たちの戦いになると。
というわけで、もう一発。日本限定で公開された予告編をどうぞ。
三船敏郎の顔をした武者姿のキャラクターが『オレはガンダムで行く!』と飛び出して、RX-78-2ガンダムに変身(搭乗?)し、ZZでおなじみのキメポーズを取る。いや、もうこれだけで、私の中のヲタクなカタルシスがどっぱーんとあふれ返るわけです。
もちろん、これだけじゃなくて、全編に、アニメ、特撮、SF、映画、などなどヲタクコンテンツ(パンフなどでは『ポップカルチャー』と書かれているが、それはちょっと違うくないか?)の破片が満載されていて、画面中にギッシリ詰ったその破片を拾い集めるだけで、なんというかもうお腹いっぱいな映画なのだ。
(以下、多少のネタバレを含みます)
イースターエッグを探す映画で、我々は埋め込まれたネタを探す
ともあれ、エンターテイメント映画としての出来がいい。もう、冒頭でヴァンヘイレンのJumpがかかった時から、脳内は80年代に巻き込まれて行く。そうそう、高校生の時に行ったスキー場で毎日のようにかかってたね! なんて思う。
ともあれ、冒頭から物語に巻き込むスピード感がすごい、そしてVR世界でのレースゲームのシーン。そうそう、このシーンの一部はYouTubeで見られるからこちらをどうぞ。3分間も見られる。かなりぜいたく。
これね。3D IMAXで見ると、もう酔いそうなぐらいの迫力&疾走感なの。そのまま、ド派手なVR空間での演出が続出して、ヒロインが現れ、仲間ができて、チャレンジが提示され、敵が登場し、戦いが始まり……とまぁ、定番の持って行き方ではあるけど、王道を上手にやってくれるのが、さすがスピルバーグ。
そして、ご覧のように、主人公が乗るのはデロリアンだし、AKIRAの金田バイクは出てくるし(成田山とCANONのステッカーは貼ってないけど……そして、音がEVでなくて並列2気筒っぽいのはどうかと思うが)、恐竜(ジュラシックパーク?)やキングコングまで出てくる。
全編、この調子で、ヲタクカルチャーで埋め尽くされているのだ。こらたまらん。目を皿のようにしていたって、とても追いつかないほどの密度。
オアシス空間内はアニメや特撮のネタが多く、現実世界に戻るとATARIなどのビデオゲームや、コンピュータネタが多くなる。
特に、最後の決戦シーンになると、先ほどお見せしたガンダム始め、あらゆるヒーローや、怪獣が山ほど出てくる。チャッキーまで武器として使われる始末だ。
つまり、ストーリーとしては『オアシス』の製作者が埋め込んだイースターエッグを探すわけだが。我々は映画の製作者が埋め込んだネタを探しまくらされるという、メタな構造になっているのだ。
『オレはガンダムで行く!』ではないが、自分のどこにハートを揺さぶられるコンテンツが埋め込まれているのかを探すことになる映画でもある。
私? 私はもちろんガンダムが一番脈拍が上がった(笑)
とはいえ、ちょっと不満な部分と、謎な部分
劇中で流れたA haのTake On Meをどうぞ。
そういえば、この映画では『ポップカルチャー』とひと括りにされているけど、僕らにとって洋楽は軽音楽部にいるイケてるヤツらの文化で、ヲタクにはアニソンがあったような気がするんだけど……まぁ、いいか。
それはともかく、この素晴らしい映画にもちょっとだけ不満がある。
ひとつは、テクノロジーに関する新しいアイデアがないこと。
コンテナハウス『スタック』なんて、今のコンテナハウスを積み重ねただけだし、そもそもゴーグルをしてVRなんて、今でもできるし、処理能力と通信速度さえなんとかなれば、『オアシス』はもう絵空事ではない。触覚などのフィードバックや走ったりできるVRも不可能じゃない。ドローンでピザを配達とか、ドローンのカメラで顔認識して人を探すとか、もう別に何も新しくないどころか、古くさいアイデアだ。
2045年とシンギュラリティっぽい年代を舞台にするなら、人工知能だってもっと重大なテーマになっているハズだし、何か少しでも『おおっ!』と思うようなアイデアを入れ込んで欲しい。そういう意味ではSFでもなんでもない。
ここんとこは、もうちょっとなんとかして欲しかったなぁ。
劇中の現実世界側に出てくるクルマが、smartや日産のLEAF、シトロエン、トヨタのアクア(?)など、現行のEVなどのクルマだったのもどうかって感じだ。27年経っても、そんなクルマに乗ってるのか? 我々は。
今ひとつは、終盤のシーンでのハリデーのセリフ。『現実だけが本当のことだ』的なのがあるけど、こうなるとせっかくみんなで命がけで守った『オアシス』が大事じゃないっていうことになるのでちょっと謎。
ただし、私は字幕を追っていたので、それは間違いかもしれない。英語では“reality is only one thing that’s real”って言っているらしく、『現実感こそが、現実だ』って言ってるのなら、オアシスというかVR世界、そしてそこでの人間関係を肯定していることになる。
全編通じて面白かったからいいんだけど、最後、この映画はVR世界を肯定したのか、してないのかが分からなかった。ここだけは、英語が堪能な方に聞いて確認しておきたい部分だ。