今回は飛行機の中で見た日本未公開の映画『ザ・サークル』をご紹介。日本公開は2017年11月10日だそうだ。

さて、あなたはSNSを楽しんでいるだろうか?

食事や友人との写真を撮り、それをネットに共有する。誰かが、転職したとか、昇進したという知らせをFacebook経由で受け取り、Twitterで訃報を知る。以前とは異なり、我々は仮想空間上の人間関係を日々生きている。

Facebook、Twitter、Apple、Google……など西海岸系のIT企業は、仕事環境においてもいい環境だと言われている。大きいなディスプレイと、MacBook Air。広くて色とりどり床や壁を持つオフィスと、奇妙なカタチのクッションが置いてあるリラクゼーションスペース。まるで公園のような芝生と植栽の間に、大きなガラスで光がたくさん入る先進的な建築物。

同僚とは友人のようにSNSで繋がり、週末には同僚とビーチに出かけたり、庭でバーベキューをウェーイな感じで愉しんで、インスタ映えする写真を撮ってシェアしたりする。

そんな『先進的な人たち』が『本当に優れているの?』という疑問を投げ掛けるのが、この映画『ザ・サークル』だ。

 

いるでしょ? ネットで人気者になって打ち上がっちゃう女の子

主人公であるエマ・ワトソン演じるメイ・ホーランドは、しがないテレフォン・オペレータの仕事に着き、障害者である父と介護する母と生活している。ボーイフレンドは鹿の角から民芸品を作っているしがない男だ。

そこに、先進的なIT企業『サークル(Circle)』に勤めている旧友から「面接を受けないか?」と電話がかかってくる。彼女はサークルでトップ40人が参加するミーティングに参加する程の活躍をしており、世界を飛びまわって忙しくビジネスにジョインしており、メイを面接官に紹介することも簡単にできた。

職種は従来の仕事の延長線上にある顧客対応。ただし、従来のような苦情対応ではなく、チャット経由で対応し、まるでSNSやゲームのように、楽しんで成績を上げていくことができる。

サークルの、ちょっと意味の分からない質問をする面接はGoogleのようであり、広い公園のような社屋はAppleの新社屋のようだ。Facebook、Twitterなど、西海岸のIT企業がモデルになっていることはいうまでもない。会社を強力に引っ張る創業者CEOイーモン・ベイリーはトム・ハンクスが演じる。まぁ、ジョブズや、ザッカーバーグ、イーロン・マスクといった役どころだ。

そして、メイは最初こそ戸惑うものの、あることをキッカケに社内、いや世界で急速に注目されるサークラー(サークルをする人のことをこういう)になる。そして、メイは、24時間インターネットに接続されたカメラを身に着け、自分の24時間を『シェア』する最初のサークラーに選ばれ、いちやく時の人になるのだ。いるでしょ? あなたの周りにも、ネットで話題になって、急に『時の人』になっちゃう女性。

彼女は時の人になり、注目され、ご想像の通り、さまざまな問題が起こる。『いいね!』を求める生活ってどういうこと? プライバシーの破壊、個人の対するバッシング、ストーキング、彼女は良くても、家族は? ボーイフレンドは? ……と畳みかけるようにいろんなことが起る。

それらどうなるか……は見てのお楽しみということにしておこう。

我々ネットの住人にとっては見逃せない映画であることは間違いない。エマ・ワトソンもかわいいし。

メグ・ライアンの『ユー・ガット・メール』から約20年だよ!

ところで、ハーマイオニーから成長したエマ・ワトソンは、キュートで魅力的な女性を演じられるようになってて、びっくりした。そして、キュートとアヒル口といえば、メグ・ライアンを思い出すワケだが、そういえは、メグ・ライアンとトム・ハンクスが演じた映画『ユー・ガット・メール』ってあったなぁ。

ほのぼのとAOLのメールが恋を育んだ『ユー・ガット・メール』から、SNS狂想曲ともいえる『ザ・サークル』まで、メグ・ライアンからエマ・ワトソンまで、おおよそ20年。なかなか感慨深い。

たしかにメールをやりとりしていた時代はのどかだった。恋も芽生えようというもんだ。果たして、SNSどっぷりの僕らは幸せなんだろうか?