MODULには、2017年に書いた「ヨドバシカメラの淀橋伝説」という記事が2本あります。01はヨドバシ橋開通編(https://modul.jp/20170714917/)、02は新宿に今も残る淀橋浄水場の痕跡編(https://modul.jp/20170809928/)です。ヨドバシカメラの社名のもとになった「淀橋」という地名をたどった記事なのですが、書いてから何年もたった今も、ずっと読まれ続けています。
調べてみると、「ヨドバシカメラ 由来」や「淀橋 ヨドバシカメラ」といった言葉で検索して、たどり着く方が多いようです。「淀橋 ヨドバシカメラ」で検索すると、02は平均してだいたい1ページ目の上のほうに出てきます。会社の名前がどこから来たのか、気になる人は意外と多いのですね。
そこでMODULでは、「企業伝説」というカテゴリーを新しく作ることにしました。社名や創業にまつわる、よく知られているけれどちゃんと確かめたことのない話を、公開されている資料をもとに調べてみるシリーズです。
その第2弾は、ヨドバシカメラのライバルで、同じく池袋に大きなお店をかまえるビックカメラです。ビックカメラの「ビック」はバリ島のスラング(俗語)で、「大きい(Big)」という意味に加えて、中身を伴った大きさという意味もある。会社の公式サイトでは、そう説明されています。
では、その「ビック」を実際に辞書で引くとどうなるのか。やってみました。
1. 公式の説明:「ビック」はバリ島の言葉
まずは、店舗の公式アカウントのこんなポストから。ビックカメラ ラゾーナ川崎店の公式Xです(本社ではなく店舗のアカウントです)。
そう、「ビッグ」ではなく「ビック」。濁点はつきません。その理由は、ビックカメラの株主・投資家向けサイトの「よくあるご質問」に書かれています。
「Bic」はバリ島のスラング(俗語)です。「大きい(Big)」の意味を持つ一方、ただ大きいだけでなく中身を伴った大きさ、という意味もあります。「限りなく大きく、限りなく重く、限りなく広く、限りなく純粋に。ただの大きな石ではなく、小さくても光輝くダイヤモンドのような企業になりたい」という希望をこめて、「ビックカメラ」と命名しました。
出典:株式会社ビックカメラ よくあるご質問
なぜバリ島の言葉なのか。上のポストのあとにwithnewsが広報担当者に話を聞いていて、こんな答えが紹介されています。
「かつて創業者がバリ島を訪れた際に、現地の方から『Bic』の言葉の意味を伝えられ、非常に感銘を受けたことがきっかけと聞いております」
出典:withnews
その創業者は、新井隆二さん。ネットでは「隆司」と書かれていることもありますが、ビックカメラの有価証券報告書では「創業者である新井隆二氏」と書かれています。
2. 前身はビックカラー、高崎から始まった
ビックカメラは、最初から池袋の会社だったわけではありません。有価証券報告書の沿革を見ると、前身はビックカラーという会社で、1978年5月に株式会社ビックカメラ(高崎)へ社名を変えています。同じ1978年5月には、池袋駅北口にカメラと関連商品を売るお店を開いています。
社名を変える前から「ビック」の名前はあった、ということになります。ただ、ビックカラーがいつできたのかは、今回見た有価証券報告書や公開資料では見つけられませんでした。
3. インドネシア語の辞書で引いてみた
さて、本題です。まずは、インドネシア語の国語辞典にあたるKBBIで「bik」を引いてみました。
出てきたのは「bik n cak bibi」。くだけた言い方で「bibi」、つまり「おばさん」という意味です。「大きい」という意味の bik は見つかりませんでした。
ちなみに、つづりの近い「baik」も引いてみました。こちらは「良い」という意味です。
4. バリ語の辞書には載っていなかった
次は、バリ語です。バリ語のオンライン辞書BASAbaliで「Bik」と「Baik」を探しましたが、どちらも見出し語のページがありませんでした。近い言葉で見つかったのは「Bikang」というお菓子の名前くらいです。
インドネシア語とバリ語の対訳辞典も見てみましたが、それらしい「bik」はありません。
というわけで、今回見た辞書では、「大きい」という意味の「bik」は見つかりませんでした。ただ、スラングは辞書に載らないことも多い言葉です。辞書に無いからといって、その言葉が存在しないとは言えません。
5. ではどこから来たのか:考えられる説
では、創業者が聞いた「Bic」は何だったのでしょうか。ここからは推測になります。
ひとつは、インドネシア語の「baik(良い)」が、聞いたときに「ビック」に近く聞こえたのでは、という説です。
もうひとつは、英語の「big」がそのまま、あるいは現地なまりで伝わったという見方です。
どちらも決め手はありません。創業者がバリ島で聞いた言葉が本当は何だったのか。それは、今のところ伝説のままです。
6. まとめ:伝説は伝説のままでも面白い
新宿の地名から名前をとったヨドバシカメラ。バリ島で聞いた言葉から名前をとったビックカメラ。池袋で向かい合う2社の名前は、どちらも創業者がいた場所や出会った言葉から生まれています。
辞書で引くと「おばさん」が出てくる、というのはちょっとした発見でした。それでも、「ただの大きな石ではなく、小さくても光輝くダイヤモンドのような企業になりたい」という願いは、辞書とは関係なく、社名の中に残っています。
そして今では、その「ビック」はJR池袋駅のホームでも鳴っています。
さて、この伝説、確かめに行くか、伝説のまま楽しむか。お代は見てのお帰りです。
この記事は、調査をGrok Bot、構築をCursorが担当し、ネタ出しと内容の確認は人と編集部Botで行っています。根拠は公式サイトや公開資料など、ネットで見つかる情報です。確かめたい方は、各社の公式発表で最新の情報をご確認ください。