見た目が奇抜なアイドルや、パフォーマンスが破天荒なアイドル、楽曲が激しすぎるアイドル。
アイドルと一括りに言っても様々なスタイルがありますが、「Maison book girl」ほど第一印象が不可解なアイドルグループはいないかもしれません。
そのライブは、まるでインスタレーションアート。その楽曲は、ジャンルレス。
今もっとも不思議でクセになる、現代音楽と融合したアイドル、「Maison book girl」(ブクガ)をご紹介します。
結成は2014年7月。BiSの解散コンサートにおいてメンバーのコショージメグミを中心に結成されることが発表されました。
ここにもBiSの遺伝子が受け継がれていることは驚くべきことですが、プロデューサーであるサクライケンタによって生み出された「Maison book girl」は、その後に生まれゆくBiSHや新生BiSなどのWACK勢とは全く趣が異なるグループとなります。
音楽性で特筆すべきは、変調や変拍子が多いということ。最初は違和感が凄いんですが、聞けば聞くほどクセになっていくんですよ。
YouTubeで楽曲を探したところ、2016年11月にリリースされた「cloudy irony」「karma」が最も古いようでした。
結成当初から変わらぬジャンルレスな現代音楽っぷりをまずはご堪能ください。
またPVの「薄暗さ」はライブにも通底するブクガらしさでもあります。
「karma」に至ってはアイドルのPVなのに全く本人が出てきません。
楽曲はめちゃめちゃカッコいいです。
2017年7月にリリースされた「rooms」は個人的に最もハマった楽曲。
大胆極まるメロディは、最初は違和感だらけ。カラオケで歌われることなんて全く考えていないかのよう!
しかしサビには不思議な納得感があって、全体を通して圧倒的な中毒性を誇る名曲です。
ブクガがいかに実験的かと言うことの証左の1つは「言選り」という楽曲にあるでしょう。
この曲はサクライケンタが手がけた過去の歌詞を入力されたAIが、そのデータを元に作詞したものを活用。
PVにも登場するAI「kotoeri」による作詞はなかなかに意味不明、歌うメンバーもイメージづくりが難しかったんだとか。
インスタレーションアートのようなライブ
芸樹的であり実験的でもあるブクガのライブは、アイドル界広しと言えども唯一無二の独創性を持っています。
世間がアイドルに思い描くセールスポイントのほとんどを封印したかのような空間であり、観客さえも舞台装置であるかのようです。
アイドルのライブに付き物であるサイリウムも普段は使われないようです。(生誕企画などを除く)
楽曲・ダンス・衣装・舞台演出、全てが「Maison book girl」が作り出す唯一無二の新たな世界観。
今売れているアイドルのテンプレートをなぞるわけでもなく、独自の世界を構築しつづけています。
ほぼあらゆる外部要因においてアイドルらしからぬ「Maison book girl」ですが、アイドル性がないわけではけっしてありません。
それどころか、それぞれがとても魅力なアイドル。
ミスiD2015のファイナリストであり、大阪弁でファンを虜にする矢川葵。
料理上手な体育会系、クラシックピアノも嗜むという才媛、井上唯。
音楽を愛するサブカル気質なメガネっ娘、和田輪。
元BiSが誇る金髪ボブ、実は欅坂46大好き、コショージメグミ。
それぞれがアイドルを愛し「売れたい」という思いを強く描いた4人が集結した「Maison book girl」は、特殊な楽曲性と芸術的なパフォーマンスによって、既存の枠組みをぶち壊し続けるでしょう。
そしてその先には、アイドルという概念を飛び越えて悠々と自分たちの世界を見せつけるビッグアーティストとしての「Maison book girl」がいるに違いありません。