猫の手も借りたいといったことわざもありますが、実際に三本目の手があったら、果たして私たちの身体はいま以上に機能するのでしょうか?

そうした思考実験の要素もあるプロダクトが、ニュージランドのデザイナー、Dani Clode氏の考案した “Third Thumb” 「三番目の親指」です。

まずはMashableによる紹介動画を御覧ください。

Third Thumbは3Dプリントした折り曲げ可能な指を利き腕の一部に装着して、それを靴の中にしこんだ圧力センサーとBluetoothで動かすという仕組みになっています。

方向を変えることと、握るという二つの動作が可能になっていますが、足の動作と連動させているのはすでに車のアクセル・ブレーキや足踏みミシンといったように、手と足を連動させる製品が存在するところから考えたのだそうです。

指がもう一本あったらどんなことが可能でしょうか?

たとえば動画のなかでは、グラスをもう一個余計に持ったり、ペンチを握るといった使い方を紹介していますが、特に目を引くのが「タブレットをしっかりと手のひらで握ってThird Thumbで画面をフリックする」「ギターをThird Thumbで演奏する」といったように、これまでは不可能だった動作を実現してしまう例です。

デザイナーによれば、義足、義手といった言葉に対応する英単語 “prosthesis” は、もともと「付け足す」という意味があって、けっして「足りないものを補う」という意味ではないのだそうです。

義足によってたいていの生身の人間よりも速く走れるパラリンピックのアスリートなども有名ですが、 人体にはなにかしらの正常な、正解の形があると考えるのではなく、拡張し、本来持っている機能を乗り越えていってもいいのではないか?

そうした問いかけを、この Third Thumb というデザインは提起しているのです。