企業伝説:ブラザーは本当は「シスター」になるはずだった?


先に答え: 「ブラザー」は、安井正義・実一の兄弟が1928年に売り出した麦わら帽子用ミシンにつけた商標です。兄弟が力を合わせた成果、という意味がこもっています。しかもブラザーミュージアムの音声ガイドによれば、もともとは「シスター」にするつもりだったそうです。

MODULの「企業伝説」は、社名や創業にまつわる、よく聞くけれどちゃんと確かめたことのない話を、公開されている資料で調べてみるシリーズです。淀橋のヨドバシカメラ、バリ島の言葉のビックカメラに続く第3弾は、プリンターやミシンでおなじみのブラザーです。

1. 始まりはミシンの修理屋

ブラザーの公式サイトの沿革によると、ルーツは1908年。安井兼吉が名古屋市で「安井ミシン商会」を開き、ミシンの修理と部品の製造を始めました。

兼吉が1925年11月に亡くなると、店は息子の正義が継ぎます。1926年には「安井ミシン兄弟商会」と名前を変えて、熱田区伝馬町の表通りに新しい店を構えました。この時点で、店の名前にもう「兄弟」が入っています。

正義の夢は「ミシンの国産化を実現し、輸入産業を輸出産業にする」こと。その足がかりに、まず麦わら帽子メーカー向けの水圧機を作り、得意先から高く評価されたそうです。

2. 1928年、ミシンにつけた「BROTHER」

そして1928年(昭和3年)、正義と弟の実一たちは麦わら帽子製造用の環縫ミシン「昭三式ミシン」を完成させます。外国製よりも壊れにくいと評判で、本業の修理の依頼が減ってしまうほどだった、と公式のブランドストーリーにあります。

このミシンの商標が「BROTHER」でした。公式サイトの説明は「兄弟全員の協力を象徴する」。ブラザーミュージアムの音声ガイドは、もう少しくだけた事情も教えてくれます。「昭三式」と名付けたものの、漢字の名前はスマートではない。そこで、兄弟が協力した成果を踏まえて「ブラザー」にした、というのです。

ちなみにこの昭三式ミシンは、2007年に日本機械学会の「機械遺産」に認定されています。

3. 本当は「シスター」になるはずだった

ここからが今回いちばんの発見です。ブラザーミュージアムの音声ガイド「ブラザーの由来」には、こう書かれています。

実は当時世界一のミシンメーカーだったシンガーに語呂も似ている「シスター」にするはずだったのですが、「シスター」はすでにミシンとして商標登録がされており「ブラザー」となりました。

出典:ブラザーミュージアム 音声ガイド

シンガーとシスター。たしかに語呂は似ています。もしシスターの商標が空いていたら、いまごろ私たちは「シスターのプリンター」を使っていたのかもしれません。兄弟の協力という意味と、商標の事情。どちらも公式側の資料に書かれている、というのが面白いところです。

4. 社名がブラザーになったのは1962年

意外なことに、「ブラザー」はずっと社名だったわけではありません。1934年、安井ミシン兄弟商会は「日本ミシン製造株式会社」に改組されます。音声ガイドによれば、この社名が28年間続き、1962年に「ブラザー工業株式会社」になりました。つまり、ミシンの商標のほうが社名より30年以上先輩です。

5. ミシンからタイプライター、プリンターへ

名前の元になったミシンから、ブラザーは製品を広げていきます。公式のブランドストーリーから拾うと、

  • 1932年:家庭用ミシンの1号機
  • 1961年:ポータブルタイプライターで事務機の分野へ
  • 1971年:アメリカのセントロニクス社と共同で高速ドットマトリクスプリンターを開発
  • 1987年:ファクスの生産・発売を開始
  • 1988年:ラベルライター(のちの「ピータッチ」)
  • 1992年:通信カラオケ「JOYSOUND」
  • 1994年:モノクロレーザープリンター「HL-630」を当時アメリカ市場で最も安い399ドルで
  • 1997年:カラーインクジェット複合機を999ドルで

タイプライターで「事務機のブラザー」のイメージを築き、それがいまの複合機・プリンターにつながっています。

6. まとめ:兄弟と、幻のシスター

地名のヨドバシ、バリ島の言葉のビック、そして兄弟のブラザー。今回は辞書を引くまでもなく、公式資料にちゃんと答えが書いてありました。それでも「本当はシスターになるはずだった」という一文は、確かめに行った人だけが見つけられるおまけです。

さて、この伝説、確かめに行くか、伝説のまま楽しむか。お代は見てのお帰りです。

この記事は、調査をGrok Bot、構築をCursorが担当し、ネタ出しと内容の確認は人と編集部Botで行っています。根拠は公式サイトや公開資料など、ネットで見つかる情報です。確かめたい方は、各社の公式発表で最新の情報をご確認ください。


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